男性の薄毛の原因は、8割ほどがAGA(男性型脱毛症)であると言われています。そのAGAを理解する上で欠かせない存在が、体内の還元酵素5αリダクターゼです。
AGAの原因物質と言われるDHT(ジヒドロテストステロン)は、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼと結合することによって生成されてしまうためです。
AGAによる薄毛を改善するためには、この5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの生成を抑える必要があります。
今回は、AGAの原因となる5αリダクターゼとはどのようなものなのか、そして、抑制するにはどうすれば良いのかについての解説です。
酵素とは
5αリダクターゼは酵素の一種ですが、そもそも酵素とはどのようなものなのでしょうか。
酵素として最も有名なのは、唾液などに含まれる消化酵素のアミラーゼでしょう。細かい事は省いて大雑把に説明すると、米やパンに含まれるデンプンを糖に変換する酵素です。ごはんをよく噛むと甘く感じるのはアミラーゼの働きによるもので、これによって消化の効率が高まっています。
このように、酵素は体内に必要な化学反応を起こすためのもので、体内ではたくさんの種類の酵素がそれぞれの役割を果たしています。この酵素が無ければ、栄養を摂取しても体内で使えるように変換できなくなるので、酵素は私たちの体にとって欠かせない存在だと言えます。
生体内での酵素の役割は、生命を構成する有機化合物や無機化合物を取り込み、必要な化学反応を引き起こすことにある。生命現象は多くの代謝経路を含み、それぞれの代謝経路は多段階の化学反応からなっている。
小さな細胞内では、その中で起こるさまざまな化学反応を担当する形で多くの種類の酵素がはたらいている。それぞれの酵素は自分の形に合った特定の原料化合物(基質)を外から取り込み、担当する化学反応を触媒し、生成物を外へと放出する。そして再び次の反応のために別の基質を取り込む。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/アミラーゼ
5αリダクターゼの働き
たくさんの種類がある酵素の中の一種である5αリダクターゼは。男性ホルモンであるテストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)に変換させるという働きを持っています。
人の体内にはアンドロゲン受容体と呼ばれる男性ホルモンを受け取るアンテナのようなものが存在していますが、DHTはテストステロンと比較したときにより強力な親和性があるため、男性らしい筋肉や骨格の形成においては重要な役割を持っています。
5αリダクターゼがDHTを生成することは特に成長期において必要不可欠ではありますが、成長が止まった後はこのDHTがAGAの原因となり薄毛を引き起こしてしまいます。
5αリダクターゼには1型と2型の2種類があり、1型は全身の皮脂腺に満遍なく存在しています。もうひとつの2型は前立腺、頭頂部、生え際などの特定の箇所に固まって存在しています。
遺伝などの影響によりアンドロゲン受容体の量が多い人の場合、この5αリダクターゼの2型が頭頂部や生え際でDHTを生成してしまうため、ヘアサイクルの乱れが起こり薄毛になってしまうのです。
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5αリダクターゼの抑制方法
AGAを改善する手段としては、原因となっている5αリダクターゼを抑制するのが最も有効です。ここでは5αリダクターゼを抑制する方法をいくつか紹介します。
フィナステリド
フィナステリドは男性ホルモンの働きを抑制する抗アンドロゲン薬の一種ですが、その効果は2型5αリダクターゼの働きを抑制することによって生まれています。
フィナステリドの効果は臨床実験によって証明されているため確実性は高いですが、医師の処方箋が無いと購入できなかったり、副作用のリスクがあったりと気軽に服用できないのがデメリットです。

また、フィナステリドと同等の効果をもつ医薬品にデュタステリドというものもあります。

フラボノイド系
育毛剤などに含まれているフラボノイド系の成分にも5αリダクターゼの抑制効果があります。
注目成分キャピキシルはアセチルテトラペプチド-3とセイヨウアカマツ球果エキスを合わせたものですがセイヨウアカマツ球果エキスにはビオカニンAというフラボノイドの一種が含まれており、この成分に5αリダクターゼの抑制効果があります。

育毛剤の成分として一般的になっているオウゴンエキスにはバイカリンというフラボノイドが含まれています。オウゴンエキスも同じように5αリダクターゼの抑制効果があると言われています。

ノコギリヤシ…?
育毛サプリメントの成分として人気の高いノコギリヤシにも5αリダクターゼの抑制効果があります。
しかし、ノコギリヤシエキスは前立腺肥大症に効果的である事は実証されているものの、育毛効果に関しては実証されていません。
