ミノキシジルを含有する育毛剤は、薬事法の規制により、一般企業では販売が許可されません。その中で、唯一販売が認められているのが大正製薬のリアップシリーズです。
他の企業がミノキシジル含有育毛剤を販売できないことから、現在は事実上の独占販売状態となっています。
そんなリアップシリーズについて詳細に解説していきたいと思います。
テレビCM等で流れるリアップの売り文句
テレビCM等でリアップの広告が流れるときに目にする、「日本で唯一発毛効果が認められている」という文言が気になったことはあるでしょうか。それはつまり、リアップシリーズ以外の育毛剤には発毛効果が認められていないということなのでしょうか。
どうしてそのような文言になるかということを説明すると、育毛剤という業界そのものの歴史を説明することになります。
大正製薬のリアップシリーズにしかミノキシジルが含まれていない理由
日本の厚生労働省や、アメリカにおいて厚生労働省と近い役割を持つFDA(米国食品医薬品局)において、育毛・発毛効果を持つ医薬品は、
- ミノキシジル
- フィナステリド
この2つだけが認可を受けています。
ミノキシジルを含有した育毛剤は元々米国のファイザー社が開発した「ロゲイン」という商品でした。このロゲインをOTC販売(一般用医薬品として販売すること)する権利をジョンソンエンドジョンソン社が買い取り、傘下のマクニール社が管理を行うようになります。マクニール社からロゲインを日本に持ってきて販売する権利を買い取ったのが大正製薬です。
このロゲインが開発されるまで、リアップやロゲインと同等の育毛剤がこの世に存在していませんでした。ですから、ミノキシジルのように「効果は高いが副作用のリスクも高い育毛剤」というのがその時初登場したわけです。
それまで育毛剤の副作用リスクに関連する法規制が日本に無かったため、リアップがヒット商品となった後の副作用報告が法規制を変えてしまうことになります。
ヒット商品だったので使用者が多く、因果関係が不明の副作用報告も多くありました。しかしたくさんの報告というのは、真偽は別として何かしらの対応を行う必要が出てきます。
厚生労働省は、初めて認可したミノキシジル含有育毛剤リアップシリーズを最後に、新たな認可を行わない方向性を示します。これにより、他の企業がロゲインの権利を買い取ったとしても、日本でOTC販売する権利を得られなくなってしまったのです。
リアップが日本で唯一ミノキシジル含有育毛剤の認可を受けているのは、そういった経緯があるのです。
医薬品と医薬部外品
ミノキシジルとフィナステリドが認可されているのは、あくまでも医薬品カテゴリーのお話です。
医薬品以外にのものは、そもそも別カテゴリーのものなので、日本で唯一云々の話にはそもそも含まれていないのです。
ここで、医薬品と、他の育毛剤のカテゴリーである医薬部外品について詳しくみていきましょう。
医薬品とは、厚生労働省によると、
第一号 日本薬局方に収められている物
第二号 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、 機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品 を除く。)
第三号 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械 器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)
出典:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/dl/s0912-13j.pdf
と書かれています。
また、医薬部外品は、薬事法第2条第2項によると
この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げることが目的とされており、かつ、人体に対する作用が緩和な物であつて機械器具等でないもの及びこれらに準ずる物で厚生労働大臣の指定するものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、前項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物を除く。
1、吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
2、あせも、ただれ等の防止
3、脱毛の防止、育毛又は除毛
4、人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみ等の駆除又は防止
出典:http://www.pref.kyoto.jp/yakumu-ihan/yakuzihoteigi.html
と書かれています。
ここで注目したいのは、人体に対する作用が緩和でない育毛成分は医薬部外品に属するということです。
ミノキシジルは、副作用があり作用が緩和ではないということから医薬品していされています。しかし、副作用が無い、もしくは薄い育毛成分はそもそも医薬品指定されません。
ここから言えるのは、リアップが「日本で唯一発毛効果が認められている」という文言は、あくまで「医薬品として」であって、医薬部外品の話はしていないということです。
リアップの売り文句にある違和感
そもそもミノキシジル含有の育毛剤は新規での販売が不可能であること。そして、大正製薬以外の企業は医薬部外品の育毛剤を開発していることから、この売り文句には少々の違和感を覚えてしまいます。
「リアップ以外の育毛剤には効果が無いか」と言われるとそういうことではなく、多くの育毛剤は医薬部外品として開発がされており、そもそもリアップと土俵が違うということです。