タバコを吸うと薄毛になるという主張への反対意見

ネットで「タバコ 薄毛」とか、「喫煙 ハゲ」とかで検索してみると、いかにタバコが悪であり、薄毛の原因になるかを丁寧に解説しているサイトが多く散見されます。

彼らの記事の中身が完全に誤っているとは言いません。しかし、タバコを吸ったからといってそれが薄毛に繋がるという意見に違和感を持つ方は少なくないかと思います。

なぜなら、おそらく身の回りにフサフサのヘビースモーカーがいたりするはずだからです。

仮にタバコが薄毛の原因になるとしても、禁煙したら治るのでしょうか。禁煙しても薄毛が治らないという人もいるはずですが、どういう理由なのでしょうか。

ということで、ここではあえてタバコが薄毛の原因になるという主張に対し反対意見を述べてみようと思います。

タバコが薄毛の原因になるという主張の根拠

まずは、タバコが薄毛の原因になると主張している人たちが、どういった根拠を元にしてその主張をしているのかをまとめて見ましょう。

ニコチンによって血流が悪くなるから

ニコチンには血管を収縮させる作用があります。そのため、毛乳頭細胞へ送られる栄養の量が少なくなり、喫煙しない場合と比べて薄毛になりやすくなるというのは最もよく見かける主張です。

タバコに含まれるニコチンの中に、血管を収縮させる作用があることが挙げられます。血管が収縮すれば血行が悪くなって、髪に栄養が行き届かなくなります。そのため毛髪が発育不全を起こしやすいのです。

出典:http://www.aderans.co.jp/kamiwaza/usuge/usuge-trivia/hair_cigarette/

ただ、ニコチンの血管収縮による栄養不足は、毛髪の量に影響を与えるほど強力なものなのでしょうか。もしそうだとしたら、毛髪以外の様々な部位で栄養不足を感じるはずです。実際のところ、喫煙者はそれを感じているのでしょうか。

活性酸素によって頭皮へダメージが与えられるから

喫煙によって生成される活性酸素が、頭皮の細胞を破壊してしまうという主張があります。活性酸素とは、酸化力が強い酸素の事で、殺菌作用を持っています。ただ、増えすぎてしまうとサビを加速させ、体内の細胞を破壊してしまう場合があり、体に悪い物質として認知されています。

タバコを吸うことによって、私たちの体内に活性酸素と言われる酸化力の強い酸素が作られます。

活性酸素は、不飽和脂肪酸でできた細胞膜と結びつき、過酸化脂質を作り出します。この過酸化脂質が毛穴を詰まらせたり、頭皮細胞を酸化させる事によって破壊します。

この破壊によって、頭皮内の毛根細胞が正しく細胞分裂できなくなり、少しずつ髪の毛が薄くなってしまいます。

出典:http://www.hair-protecter.com/thinning_hair/cigarette.html

ただ、活性酸素というのは頭皮に対してだけ強力に作用するものではなく、体全体に作用するものです。

よく喫煙が肌荒れの原因になると言われるのはこの活性酸素が原因なのですが、もし喫煙しても肌荒れが起こっていないのであれば、喫煙による活性酸素の量は大したことが無いと言えるのではないでしょうか。

DHTの生成量が増えるから

喫煙することにより、AGAの原因になるDHT(ジヒドロテストステロン)が増加するからという主張があります。薄毛とタバコの関係を説明する上で、最も説得力のある根拠だと思います。

ハーバード大学でアメリカの中年男性およそ1200人を対象にした調査によると

タバコを吸う人は吸わない人に比べ、一般的な男性ホルモンであるテストステロンは9%、強い脱毛作用を持ち、薄毛の直接の原因でもあるDHT(ジヒドロテストステロン)は13%増加していたのです

男性ホルモンが増加することでAGA(男性型脱毛症)の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)が増えてしまいます。

これにより抜け毛や薄毛のリスクが高まります。

出典:http://zetsuen.jp/health/hair/

揚げ足取りのような話になってしまいますが、この話を薄毛とタバコの関係の根拠にするには、以下の点が疑問として挙げられます。

  • 喫煙した人のDHT量が増えたのではなく、DHT量の多い人が喫煙を好む傾向があった可能性は無いのか
  • アメリカ人のデータだが、体質の違う日本人には当てはまらない可能性は無いのか
  • 13%程度のDHT量増加ではそこまで毛髪に影響を与えないのではないか

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タバコに対する「良くない物」というイメージが、過剰な反応を生んでいるのでは

タバコは百害あって一利無しとよく言われますが、その「良くない物」というイメージがタバコと薄毛の話でも過剰な反応を生んでいるように感じます。

実際のところ、薄毛に対する影響はほとんど無く、あったとしても気にするほどではないでしょう。もしかしたら影響を与える”かもしれない”という程度で考えておくべきです。

無理に喫煙をして薄毛対策するつもりになるよりは、薄毛治療薬や育毛剤の使用から取り組むべきです。