女性ホルモンの減少で薄毛に”なる説”と”ならない説”

薄毛対策に関する知識というのは、多くの場合男性の薄毛についてが語られます。薄毛に関する研究を製薬会社、化粧品会社、大学などが発表することがありますが、研究の対象となる人は全員が男性というのがほとんどです。

もちろん、男性も女性も同じ人間ですので共通点は多いです。とはいえ、女性と男性では体のつくりに違いがあります。男性の薄毛の原因が男性ホルモンであると言われますが、女性ホルモンはどうなのかというのも気になるところです。

ということで、今回は女性ホルモンと薄毛にはどのような関係があるのか。また、女性特有の薄毛の原因はあるのかどうかについて探っていきたいと思います。

L.リー.ボズレー医学博士の女性ホルモンに関する見解

アメリカにて植毛手術の第一人者と言われるボズレー博士は、過去に女性ホルモンと薄毛に関して一つの結論を出しました。それは、女性ホルモンは薄毛と直接関係があるものではなく、関係があるとしても頭皮の肌質の変化など間接的なものであるというものです。

古い情報なので現在どのような考えを持っているのかまでは分かりませんが、過去にはこのような考え方が一般的だったようです。

そういった治療のプロセスで希望の光となったのが、「女性ホルモンの減少が、そのまま薄毛に直結するわけではない」というDr.ボズレーの発見でした。もちろん女性ホルモンは肌や髪を潤す“美肌・美髪ホルモン”ですから、加齢とともにその分泌量が減ることで、さまざまな悩みが増えてきます。ただ、それがツヤやハリ不足にはつながっていても、即座に薄毛や抜け毛を引き起こすわけはないのでは……というのが、Dr.ボズレーが研究からたどり着いた結論でした。

出典:https://www.bosley.online/approach/pursue/

LIONによる女性ホルモンと薄毛の関係についての研究

化学品メーカーのLIONによる研究結果で、女性ホルモンと薄毛は直接の関係がある可能性が示されています。女性ホルモンががあると発毛促進「BMP2」「MSX2」「BCL2」が増え、脱毛因子「IL1A」が減っていることが確認されました。

これは、女性ホルモンが減少することが薄毛に繋がる可能性を示しています。

女性ホルモンが存在すると、発毛促進因子の中で「BMP2」「MSX2」「BCL2」が有意に増加し、脱毛因子「IL1A」が有意に減少することを確認しました(図2)。このことから、女性ホルモンの減少により、発毛促進因子の低下と脱毛因子の増加が起こり、それによって“女性の薄毛”が引き起こされる可能性が示唆されました。

出典:http://www.lion.co.jp/ja/company/press/2013/873

このように、女性ホルモンは薄毛と直接的な関係が無いという説が強かった中、実は関係があるのではないかという説が徐々に強くなっているというのが現状です。

あくまで「可能性がある」という段階なので、まだまだ研究の余地がある分野ですね。

女性特有の薄毛対策は必要?

現状女性ホルモンと薄毛の関係については曖昧な部分が多いです。女性が男性と違う特別な薄毛対策を必要とするかと聞かれたら、そこまで必要は無いと答えるのが誠実でしょう。

最近は様々な女性向けの育毛剤が販売されていますが、男性用育毛剤と比べて女性が使ったときの効果が高いということはありません。女性用育毛剤はパッケージが化粧品のようなオシャレさがあったり、髪を美しく保つための成分が入っていたりと「効果以外」のメリットが大きいです。

関連:http://ikumouch.com/archives/459