世界で発毛効果が認可されているということもあり、手に取る人が多い成分ミノキシジル。ですが、ミノキシジルは医薬品であることから副作用があることも忘れてはなりません。
今回の記事ではミノキシジルの副作用について解説を行います。これからミノキシジル含有の育毛剤を使用しようと考えているかたは、一度この記事を読んで慎重に検討してみてください。
目次
日本OTC医薬品協会によるミノキシジルの医薬品分類
まず、副作用の解説の前に「ミノキシジルって本当に心配するほどの副作用があるのか」について、その根拠を説明します。
医薬品は、
- 医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」
- 処方箋を必要としない「一般用医薬品」
の二種類に分類することができます。
ミノキシジルは処方箋を必要としない一般医薬品の分類です。薬局でリアップなどが販売されているのを見たことがあるかと思います。
そして、一般用医薬品には、副作用が危険な順に
- 第一類医薬品
- 第二類医薬品
- 第三類医薬品
の3つに分類されます。
こちらは医薬品の分類を行う日本OTC医薬品協会による第一類医薬品の説明です。
副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するもの。店舗においても、生活者が薬剤師の説明を聞かずに購入することがないよう、すぐには手の届かない場所に陳列などすることとされています。販売は薬剤師に限られており、販売店では、情報を提供する場所において対面で、書面による情報提供が義務付けられています。
出典:http://www.jsmi.jp/book/otc_02.html
ミノキシジルが一般医薬品の中で最も副作用の危険性が高い第一類医薬品に分類されていることから、「ミノキシジルの副作用は心配するべきである」ということが分かります。
ちなみに、ミノキシジル以外に第一類医薬品として有名な医薬品は、
- タバコや禁煙グッズに含まれる「ニコチン」
- 男性ホルモン剤に含まれる「テストステロン」
等があります。
米国機関FDAの発表によるミノキシジル含有薬「ロニテン」の副作用
アメリカにFDA(アメリカ食品医薬品局)という政府機関があり、そこでは医薬品に関する規制や取締が行われています。
ミノキシジルはもともとファイザーというアメリカの企業が開発したものであるというのもあり、FDAからミノキシジル含有医薬品ロニテンに関する忠告が行われています。
以下はFDAが発表したロニテンの副作用を翻訳し、まとめたものです。
刺されるような胸の痛み / 乾いた咳 / 呼吸困難(横になっているとき) / 足や足首の晴れ / 5ポンド(2.3kg程度)の急激な体重増加 / ドキドキするような動機 / 視覚や聴覚の乱れ / 突然のしびれ / 脱力感 / 頭痛 / 錯乱 / 重度のむくみ / 皮膚のはがれ / 皮膚の発疹を伴う発熱 / 喉の痛み / 軽いあざや出血 / 吐き気、嘔吐 / 乳房の痛み / 体や顔の毛の色、長さ、厚さの変化
以上18の副作用がミノキシジルには存在していると発表されています。ミノキシジルが元々血管拡張薬であることから、頭痛やしびれなど血圧に関することは特に注意が必要です。
また、FDAはロニテンはあくまで血管拡張薬であり、薄毛治療目的では使用しないようにとも忠告しています。
リアップX5プラスの製品情報に書かれている副作用
ミノキシジル含有の商品として日本で唯一販売が許可されているリアップシリーズ。そのひとつのリアップX5の製品情報ページに、副作用の詳細が書かれています。
関係部位 症状 皮膚 頭皮の発疹・発赤*、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感等 精神神経系 頭痛、気が遠くなる、めまい 循環器 胸の痛み、心拍が速くなる 代謝系 原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ
出典:http://www.taisho.co.jp/riup/riupx5/product/
大正製薬は、これらの症状が見られた場合は使用を中断するようにと忠告しています。
皮膚の項目にある発疹やかぶれについては、おそらくミノキシジルによる副作用ではなく、添加物によるものと思われます。
リアップには以下の添加物が含まれております。
- セタノール
- 1,3-ブチレングリコール
- ジブチルヒドロキシトルエン
- リン酸
- エタノール
ミノキシジルの使用による死亡例
少々衝撃度の高いお話ですが、ミノキシジルの使用中に死亡した人がいるという報告があり、その頃のスポーツ新聞ではニュースとして取り上げられています。
ロゲインの開発段階で3名、市販化されたリアップの使用中に3名(1999年末の時点)が薬品との因果関係は不明としながらも循環器疾患で死亡
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ミノキシジル
ただ、あくまで使用中に死亡した報告があったというものであり、死因とミノキシジルの因果関係は不明です。人気商品でたくさん使用者がいたことから、使用者の中に循環器疾患での死亡があったとしても不思議ではありませんので、使ったら死ぬ可能性があると受け取るのは乱暴でしょう。
この頃からミノキシジルを気軽に購入できてしまうのは危険であるという風潮が高まり、2009年の改正薬事法施工によりミノキシジルが第一医薬品に指定されたという経緯もあるようです。
ミノキシジルを使うか使わないか
副作用についての解説は以上です。副作用の危険性が高いミノキシジルですが、だからといって使うべきでないというお話ではありません。あくまで副作用の危険性があることを理解し、そのリスクを背負ってでも使用するのか、別の方法で育毛に励むのかを慎重に検討する必要があるということです。
ミノキシジルは医薬品指定がされている化学物質なので、どのような副作用があるかを販売者側が説明する責任があります。
キャピキシルやM-034等、よくミノキシジルと比較される成分は天然のものなので、医薬品指定や副作用の説明責任等がありません。基本的に天然成分の方が体には安全ですが、自然には毒というものも存在するので、絶対に安心というものでもないでしょう。
ただ、副作用が無く効果も高いのであればもちろんそちらを使うべきです。私達にとって重要なのは、育毛剤に含まれるそれぞれの成分がどのような効果を持つのかをしっかり理解することでしょう。