ミノキシジルといえば、薄毛治療薬の成分として非常に人気があります。薄毛に悩む方が、まず手に取るアイテムと言ってもいいのではないでしょうか。
そんなミノキシジルの効果効能について、詳細な解説をしてみたいと思います。
目次
ミノキシジルが薄毛改善効果を発揮するメカニズム
ミノキシジルは、元々高血圧を改善するための経口薬として開発されたものです。血圧の高い患者にミノキシジルを投与したところ、患者の多くに多毛症の傾向が見られました。
多毛症の傾向に着目した研究者がミノキシジルを薄毛治療薬として使えないかと考え、臨床実験を行います。その結果、薄毛改善効果があるとの見方が強まり、1980年代にRogaineとしてミノキシジル外用薬が発売されました。
ミノキシジルの効果の根拠はあくまで臨床実験データであり、理論的な裏付けは未だに不明な部分が多いです。ただ、元が血管拡張薬であることから、頭皮の血管を拡張することによる育毛効果かと思いがちですが、実際はそうではありません。
ミノキシジル以外の血管拡張薬に同等の効果はありませんので、ミノキシジルは血管の拡張とはまた別に、毛母細胞を活性化させるものであると考えられています。
大正製薬が公開しているリアップの臨床実験データ
日本で唯一ミノキシジルの販売が許可されている大正製薬のリアップは、公式サイトにて詳細な臨床実験データを公開しています。
この臨床実験データから5つのグラフを見ていきたいと思います。
医師の評価
医師がリアップを使用した患者の様子を観察し、どれくらいの人がどの程度薄毛を改善することができたかを記録したものです。
これを見ると、12週程度で軽度改善、20〜24週で中程度改善が増えているのがわかります。40週ほど経過すると97.9%の人が軽度以上の改善を見せており、ほとんどの人が何かしらの変化を見せたようです。
著明改善は評価終了時まで多くなく、見違える程に改善するというのは稀な現象であることが分かります。
長期投与試験 被験者の印象
こちらは被験者側の印象です。医師の観察と比較すると、若干「変わらなかった」の回答が多くなったようにも見えますが、ほぼ同じと考えて良いでしょう。
総毛髪数の変化
こちらは、1平方cmはたりの毛髪数の変化です。4週間経過したところで平均何本毛髪が増えたかを記録しています。
4週程度ではほぼ効果が見られませんが、8〜12週からは20本前後の増加を見せています。ミノキシジルを使用する場合、変化が感じられるのは2ヶ月ほど継続してからというところでしょうか。
太さ40μm以上の毛髪数の変化
こちらは増えた毛髪の中でもある程度の太さがあるものに絞って毛髪数を記録したものです。上のグラフとほぼ同じ変化を見せています。
総毛髪数の変化(ミノキシジル1%と5%の比較)
最後に、リアップX5(ミノキシジル5%)と、リアップ(ミノキシジル1%)でどの程度差があるのかを記録したものです。
5倍のミノキシジルがあれば5倍の効果があるかというとそうではなく、およそ2〜3割の差となっています。
ミノキシジル内服薬と外用薬
ミノキシジルには内服薬として錠剤を口から飲むものと、外用薬としてミノキシジルを5%程度配合した育毛剤を頭皮に塗布するものがあります。
それぞれは以下のような特徴を持ちます。
内服薬
- 大きな効果が期待できるが、副作用の危険性が非常に高い
- 日本では販売されておらず、海外製品を個人輸入する必要がある。
- 他の薄毛改善の手段と比べると安価
外用薬
- 添加物が多くかぶれの危険性がある
- 副作用の危険性は低い
- 日本で販売されているのはリアップシリーズのみ
ミノキシジルというのは、そもそも水溶性ではありません。つまり、ミノキシジルを単純に水で薄めて頭皮から浸透させようとしても、水には溶けず、頭皮に浸透することもありません。
つまり、外用薬は添加物等の力を利用し、少々無理をして浸透させることとなります。その結果かぶれが起きてしまうことや、効果的に浸透しにくいこと等を考えると効果だけは内服薬の方が高いです。
ですが、ミノキシジルは副作用の危険性が非常に高い医薬品であり、内服には様々なリスクを伴うこと。また、日本では販売が許可されていないため個人輸入が必要であることなど敷居の高さがあります。
ミノキシジルを使うか使わないか。使うとしても内服薬か外用薬かを慎重に選択する必要があるでしょう。