フィナステリドはAGAの治療薬として最もポピュラーな成分です。プロペシアやフィンペシアなどのフィナステリド含有薬は、AGAクリニックなどに通えばほとんどの場合処方されることになります。
フィナステリドはいくつかの副作用のある成分ですが、実は服用している最中に副作用があるだけでなく後遺症も報告されており、それをポストフィナステリド症候群と呼びます。
以前の記事でフィナステリドには副作用があるという事を説明しましたが、今回はポストフィナステリド症候群について解説をしていきたいと思います。
フィナステリドの副作用について解説した記事はこちら:
ポストフィナステリド症候群とは
ポストフィナステリド症候群はPFS(=post finasteride syndrome)とも略され、言葉の意味は
ポスト(post)…〜の後、〜の次
症候群(syndrome)…原因は特定できないものの、ある状況下において同時に発生する一群の症状
つまり、フィナステリドを服用した後に発症することがある原因不明の症状の事を示しています。
フィナステリドの副作用について、以前は服用を中止すれば収まると考えられていました。しかし、実際は服用中止後にも症状が続いた事例が報告され、これをポストフィナステリド症候群と呼んでいます。
日本ではあまり認知されておらず、フィナステリドの処方箋を出している医師でさえ知らない人もいるようです。アメリカではこの危険性がある程度認知されており、2012年8月にポストフィナステリド症候群財団が設立されています。
ポストフィナステリド症候群に関する報告
ポストフィナステリド症候群について、イタリアのトリエステ大学の研究者が論文を発表しています。
論文が載っているサイト(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/andr.12147/full)
平均年齢33.4歳の男性79人を対象にしたアンケートと問診で、フィナステリド使用期間の平均は27.3ヶ月、フィナステリドの中止からの平均時間は44.1ヶ月と書かれています。
アンケートと問診の結果をまとめます。
性機能に関して
勃起不全… 困難40.5% 不能3.8%
オルガズム… 困難16.5% 不能2.5%
感度の低下… 87.3%
射精力の低下…82.3%
性器温度の低下…78.5%
性機能以外に関して
無快感症…75.9%
集中力の低下…72.2%
筋肉量、体重の減少…51.9%
フィナステリドの服用をやめてある程度の期間が経過しているのにもか関わらず、これだけの割合の人たちが自覚症状を訴えています。どうせ発症しないだろうなんて軽視していると、後で痛い目を見るかもしれません。
ポストフィナステリド症候群は自殺の原因にもなっている
WHOの調査報告によると、ポストフィナステリド症候群は自殺の原因にもなっているようです。2015年の10月〜12月には59人、2016年1月〜3月には64人が自殺しているとのことです。
WHOの報告はこちらで確認できます。(http://www.pfsfoundation.org/news/finasteride-induced-suicides-up-8-4-in-whos-vigibase/)
自殺の理由としては、性欲喪失、勃起不全、うつ病、自殺念慮、不安、パニック発作、ペイロニー病、陰茎収縮、女性化乳房、筋肉萎縮、認知障害、不眠、重度乾燥肌、耳鳴などの症状に関連してというものが主なようです。
それに加え、発症者が家族、職場、恋人などとの関係が悪化してしまうことも自殺の原因になっているとの報告があります。
フィナステリドの服用は慎重に
フィナステリドには単なる副作用だけでなく、ここまで説明したように後遺症の危険性があります。発症率も低いとは言えない数字が出てしまっているので、もしフィナステリドの服用を考えている場合は慎重に検討した方が良いでしょう。
薄毛の対策というのはフィナステリドだけではありません。他にも様々な手段がありますし、それぞれにのメリットやデメリットについても当サイトの記事で知ることができます。十分に知識を得てこれだという対処法を見つけてみてください。